大阪市立大学→京大に仮面浪人で合格した梶本雄一朗さんインタビュー

大阪市立大学→京大に仮面浪人で合格した梶本雄一朗さんインタビュー

では仮面浪人中に不安になったことはありますか?

「落ちたらどうしよう」という不安はずっと抱えていました。落ちた時のことを考えてもしょうがないというのは頭では分かっているのですが、どうしてもその不安はついてきました。

そこで、「自分が京大に受かることは決定している!」と意識的に思い込むようにして、合格から逆算してやるべきことを整理し、それを淡々とこなしていくようにしました。

ただ、「受かるものだ!」と思い込むようにした後も、いよいよ受験が始まるセンター試験直前は本当に不安でしたね。「落ちたら人生どうなってしまうのだろう」と思っていました。

受験で失敗したからといって死ぬわけでもあるまいし、大したことではないと今振り返ってみると思いますが、当時は「もし落ちたら嫌だった大学に戻らなければならない」「親に申し訳ない」と思っており辛かったです。

しかし、最終的には「そんなことどれだけ悩んでも現状は何も変わらない!」と腹をくくり、勉強に没頭するようにしていました。

不安もある中、どうして仮面浪人を途中で挫折せずにやり通せたと思いますか?

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「ここから抜け出したい」「現状を変えたい」という強い気持ちがあったからだと思います。

大阪市立大学では正直、大学の授業も適当に受けていて、ラクロスを優先するあまり授業に行かないことも多々ありました。しかもそのラクロスも周囲との温度差を感じていて、「果たして一浪までしたのに、大学生活がこんなものでいいのか?」と強く思いました。

そういう周りの環境に馴染めない状況の中で、京大に行った高校の友人などから「京大には面白い人や主体性のある人が多い」とよく話を聞き、ますます「今の大学から抜け出したい」「京大に行きたい」という気持ちが強くなり仮面浪人に没頭できました。

ですがもちろん、仮面浪人をしていく中で弱気になる時もありました。

そういった時はネットで京大ラクロス部のPVを見たり、奮い立たせる言葉や写真を使って自分でPVを作るなどしてモチベーションを高めるようにしていました。これはかなり効果がありましたね。

一浪時は予備校の先生が生徒を奮い立たせる言葉をよくかけてくれていたのですが、仮面浪人はそのモチベーションの維持を自分で行わないといけないので、かなり意識して行っていました。

受験はどうでしたか?

私は滑り止めを受けず、京大一本しか受験しませんでした。

その理由は「学歴を上げたい」というのももちろんゼロではありませんが、それよりも「京大でラクロスがしたい」という思いが強かったからです。なので他の大学は全く受けませんでした。

また、もし落ちたら大阪市立大学を辞めるつもりでした。

というのも、高校までだと「大学に行くのが当たり前」という価値観でしたが、一度大学に入ってバイトなどで社会と接する機会が増えると視野が広がり、世の中には大学に行かない人もたくさんいるのだと実感して「大学だけが正義ではないな」と思うようになったからです。

そのため、京大に合格すればラクロスで日本一を目指し、落ちていれば思い切って大学を辞め、自分の力のみで社会の中でどこまでやれるか挑戦してみようと思っていました。

仮面浪人をして京大に入ったからこそ得られたもの

京大合格後の周囲の反応はどうでしたか?

受験の時は親を喜ばせたいという思いが強かったので合格後すぐに親に報告しました。ですが、合格を伝えても「そう、良かったね。」と意外と反応がそっけなかったのでショックだった記憶があります。(笑)

高校の友人は非常に喜んでくれました。京大に行った友人も多かったのでまた同じ学校になれるのが嬉しかったですね。

また、大阪市立大学のラクロス部の友人もとても喜んでくれました。部活を休部する時に仮面浪人をするからと理由を伝えており、受験期もすごい応援してくれていたので良い報告ができて本当に良かったです。

仮面浪人を経て京大に入学し、大学生活の変化はありましたか?

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自分が理想としていた京大での学生生活を100%とすると、今はまだ30%くらいですね。(笑)

というのも、京大入学後にラクロス部に入ったのですが、部で不祥事が起こり、「公式戦出場停止+3部降格」になってしまったのです。そして日本一を目指すことが厳しくなったのでラクロス部を辞めました。

最初はもちろんショックでしたがで、この出来事で「自分が本当にやりたいことはラクロスだったのか」と考えるいいきっかけになりました。

そしてよくよく考えた結果、漠然としているのですが自分は「すごい人になりたかった」のだと気付くことができました。そして、今まではその「すごい人になる」手段がラクロスであっただけで、ラクロスを根源的、本質的にやりたい訳ではなかった自分に気付きました。

そのため、処罰が下るまでは必死にラクロスを練習して、関西ユース選抜にも選んでいただいていたのですが、それも周りからすごいと言われることに快感を覚えるためにしていただけだったのです。それゆえ、別にその手段がラクロスでなくとも、他の方法で「すごい」と言われるような実績を残せるように頑張ればそれでいいなと思うようになりました。

また、大阪市立大学の頃と大きく変わったことといえば、人とのつながりを大切にするようになりました。大阪市立大学の頃はそんなことも思わなかったのですが、今は色んな人と交流する中で、フットワークを軽くして、色んな人から多くの価値観を取り入れて自分の選択肢を増やすようにしたいなと思うようになりました。なので今は旅や学生団体での活動に力を入れています。

あと、京大は個性的で面白い人が多い環境だと思っていたのですが、意外とそうでもないなというのが入ってみての正直な感想です。もちろん変わった人や面白い人もたくさんいるのですが、それよりも意外と普通の学生が多いという感じです。

ですが、これは仮面浪人をして京大に入ってみなければ分かり得なかったことなので、仮面浪人したことには全く後悔していません。それに京大は恵まれた環境であるので、それを生かすも殺すもあとは自分次第だなと思っています。

仮面浪人を経て価値観の変化はありましたか?

価値観は大きく変化しました。それまでは普通の大学生でしたが、仮面浪人を経験したことで他の人より楽しい大学生活を送れていると思います。

具体的には「絶対に流れに身を任せることだけはしたくない」と思うようになり、実際にそうならないよう意識して行動しています。もし、仮面浪人をせずそのまま大阪市立大学に残っていたままなら今頃、勉強もするわけでもなく部活も中途半端で「京大に行きたかった…」と後悔ばかりしている主体性のないつまらない人間になっていたと思います。

仮面浪人をして「受け身では物事は何も変わらない」と気付くことができました。

最後に仮面浪人生にメッセージをお願いします。

世間ではよく「仮面浪人はやめた方がいい」と言われますが、僕は「仮面浪人をしたいという気持ちが少しでもあるなら、まずは仮面浪人に挑戦してみたらいい」と思っています。

そして仮面浪人をやっていく中で「これはしんどくて無理だな」「仮面浪人よりもしたい事が見つかったな」と思えばそこでやめればいいし、「できそうだな」と思えば最後までやればいい。そうして実際にやっていくと自然と自分の仮面浪人に対する本気度だったり、自分が本当にしたいことにも気付けると思います。そしてこれは実際にやってみないと分かりません。

また、仮面浪人をしないにしても、「初めから諦めてやらない」のと「一旦やってみた上で途中でやめる」のでは自分の中での納得感が全く違うと思います。

なぜなら仮に大学生活が楽しく、勉強が面倒くさくなってやめたとしても、それは「今の大学を楽しむ>辛い思いをしてまで志望大学に行く」という自分の心の中の優先順位に仮面浪人をしていく中で気付けたということだからです。

ですが、最初から挑戦せずに諦めてしまうと「もしあの時挑戦していたら…」「やればできたかもしれない…」といつまでも後悔が残ってしまう可能性が高いと思います。

そのため、最後までやるにしろ、途中で方向転換するにしろ、まずは行動してみないと何も始まりません。頑張って下さい。

【インタビュー日時:2015年8月22日】

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