福岡大学→早稲田大学に仮面浪人で合格した中竹竜二さんインタビュー

福岡大学→早稲田大学に仮面浪人で合格した中竹竜二さんインタビュー

「必ず受かる」という強い気持ちを持って仮面浪人なさっていたようですが、辛かったことはありますか?

自分に言い聞かせていたのは、「落ちたら福大に戻ろう」と気持ちの上で逃げることは絶対にしないということです。それが段々「ここにいちゃならない、周りに示しがつかない」というプレッシャーになっていきました。しかし、それは辛いと言うよりもむしろ自分を追い込むプラスの方向に作用したと思います。他人からプレッシャーを与えられるよりも自分でプレッシャーをかけた方が頑張ることが出来ますから。当時入っていたラグビーサークルの先輩方も「来年はここにいないんだな、頑張れよ!」とプレッシャーをかけてくれて、普通の浪人生よりも良い精神状態でプレッシャーと向き合うことが出来たと思います。

お話を伺っていると、中竹監督はご自身について早いうちから認識なさっていたように思えるのですが、そういった自己認識は高校時代から抱いていたのですか?

そうですね、自分がどういう人間かということについては、他の人よりも早いうちから考えていたと思います。
実は僕は失読症という特殊障碍を持っていまして、活字を読むのが不得意でした。文字を読んでも意味が入ってこない障碍で、受験には大きなハンディとなりました。先ほどお話ししたように高校受験の際に塾に行かなかったのも、普通の人の読むスピードについていけないという事情がありました。文字を追うのが難しいからには物事を画像として認識するほか無く、暗記をする時も何度も書いたりせずビジュアルで覚えるようにしていました。

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思い返せば小学校の頃から活字が苦手で、当時からノートはとらず先生の話を集中して聞いているだけでした。「自分は解くスピードが遅いけど、人よりも時間をかければやっていける。ペースが遅い分だけ人よりも頑張ろう」と覚悟を決めていたんです。そういう経緯もあり、僕は自己認識という点では早い方だったと思いますね。
それもあってか、当時はいま思えば相当ドライな小学生でした。「夢」という言葉が大嫌いで、「僕はいまこういうレベルにいるから、着実に出来ることからやっていこう」という考え方をしていましたね。その考え方はいまでも変わっていなくて、受験でも「着実な選択肢」として仮面浪人を選びました。

福大に通ったからこそ出会えた、素晴らしい仲間たち

早稲田に落ちた場合のことは考えていましたか?

考えてなかったですね。落ちたら落ちたでその時考えたでしょう。最初は「落ちたら福大でトップを目指す」と考えていましたが、先ほど言ったように勉強していくうちに「ここにいちゃダメだ」と思うようになりましたから。それ以上具体的なことは考えていませんでした。

また、受かってから福大に退学の手続きをしに行ったとき、事務局の方に理由を聞かれたのですが、「行きたいところに受かった」と答えたら「頑張って下さい!」と応援されました。1年しか在籍しませんでしたが福大は良い大学だと思いますし、感謝もしています。いまだに講演するくらいの縁もあって、福大で仮面浪人していたことも話しています。福大で仮面浪人していなかったら会えなかった仲間も沢山います。ラグビー仲間はもちろんですが、授業でも出会いがあり、「ここに来るべくして来たんだ」と思っていました。
仮面浪人について迷っている人は、常に自分がいまやっていることを肯定した方が良いと思います。「来るべくして来た道なんだ」と、毎日無理矢理にでも言った方が良いのではないでしょうか。

合格したあと、福大のご友人にはどのように報告なさったのですか?

普通に電話して伝えたり、東京から会いにいったりしました。とはいえ春先は東京への引っ越しで忙しく、きちんとお別れの挨拶を言えなかった人もいました。ですが意外とすぐに夏休みが来て、早稲田での最初の夏は実家に帰らず福岡の友達に会いに行きました。

友人の中には僕が仮面浪人していることに刺激されてか、色々なことに挑戦するようになった人が何人もいました。ある先輩はずっと行きたかった難関学部に転部しましたし、ボランティア活動に励んでいた同期は「俺は福岡にいるけど、お前には負けない!お前は早稲田でレギュラーになって、俺はボランティアで全国区になる。どっちがテレビに早く出れるか勝負だ。」と言って来てね。結局彼の方が早くテレビに出演することになりました。凄く良い相乗効果が生まれていて、素晴らしい関係が築けていたと思います。そういう素晴らしい人間に会えたという意味でも、仮面浪人して大学に通っていて良かったと思います。

先ほどお話の中で「自分の選択を肯定した方がいい」というお言葉がありましたが、選択の岐路に立っている人に対して、アドバイスはありますか?

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自分の気持ちに素直に決めた方がいいと思いますね。ただ、無闇に決断するのではなく、何に悩んでいるかだけは整理した方が良いと思います。その大学は本当に自分の行きたいところなのか、ステータスで選んだのか、先生や親に薦められて決めたのか、など。「世間的に恥ずかしいからもう一度受験し直す」というのは本質的な悩み方ではないと思いますね。
自分は何故悩んでいるのか、それを自分に問い続けるしかないでしょうね。

また、仮面浪人を経験した人は今後の人生で進路に迷ったとき、具体的には就職する時にスパッと決められるのではないでしょうか。人よりも早く大学選択の時点で迷った経験があるなら、例えば自分にとって何が大事なのかだとか、あるいはどんな悩み方をするのかについては分かっていると思います。それを活かして就活のとき対策ができるのではないでしょうか。もう二度と同じ悩み方はしない、という気持ちを持って頑張って欲しいですね。

【インタビュー日時:2015年1月10日】

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