慶應義塾大学→東大に仮面浪人で合格した大木崇史さんインタビュー

慶應義塾大学→東大に仮面浪人で合格した大木崇史さんインタビュー

実は慶應の図書館で勉強しているうちに仮面浪人の友達が何人かできたのですが、その中には両立を辞めて受験一本に絞っている人もいました。

その人たちとは図書館の開館を待つ間に古文の単語帳を開いていたら、「仮面ですか?僕たちもなんです!」と声を掛けられて知り合いました。よく考えたら図書館の前で古文やってたらかなり目立ちますよね(笑)。あまり回数としては会っていませんが、全体で8人くらい居て、志望は医学部、東大、京大あたりだったと思います。いまでも慶應に在学している人もいると思いますよ。

大学での生活と仮面浪人を両立させるなかで、辛かったことはありましたか?

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周りが色々遊んでいるのをSNSなどで見ると、少し孤独を感じました。

僕はサークルに入っていたので、そこでの友達が楽しく遊んでいるのがFacebookなどで流れてきたのですが、そうした投稿を見ると「一人で勉強して一人でご飯食べているこの時間は何なんだろう……。」と思っていました。勉強のスタートが遅れたこともあって、夏からは遊びに誘われても断るようにしていたので、それまでの生活や周囲との差を感じて少し辛かったですね。

ただ、僕は完全に受験一辺倒になることはなくて、適度に息抜きや相談をしてバランスを取ろうとしていたので、自分ではそこまで苦しんだとは思っていません。

仮面浪人時代、予備校の冬期講習に2日だけ参加したと伺ったのですが、それは何故ですか?

その予備校は現役時代に通っていたところで、久しぶりに予備校の先生やそこで勉強している友達に会いたかったからです。仮面浪人することについて周囲に積極的には明かしていなかったので、予備校での人間関係が安心材料になっていました。悩んだ時は相談したりもしましたし、「悩んだときに相談できる人がいる」という感覚を持てたことは大きかったと思います。

仮面浪人中、スランプなどはありましたか?

模試を受けていなかったので偏差値の落ち込みなどは分かりませんが、精神的にたるむ事はあまり無かったと思います。ただ、1月から2月にかけては試験ラッシュで忙しかった記憶がありますね。国立大学を受ける仮面浪人生は誰もが通る道かもしれません。

その時期はセンターが1月半ばにあり、その翌日から慶應の期末テストが始まり、それが一段落した頃に東大の二次があったので、一番スケジュール的に辛かったです。やることがあまりに多すぎて、逆に段々楽しくなってくるほどでした(笑)。そんなに要領よく出来たわけではないのですが、精神的には割と余裕を保つことが出来ていて、「後から思い返せば面白いだろうな」くらいに思っていました。先ほども言ったように「ダメでもともと」みたいな気持ちがあったので、気軽に受けていました。

仮面浪人を通して得た、「なんとかできる」という自信

受験本番はどういう気持ちで臨んでいましたか?

1年間を通して「受かればいいかな」という気持ちでいましたが、センターではどうしても足切りの恐怖が頭をよぎり、それほど楽観的になれませんでした。また、現役の時は高校のみんなと一緒に受けたのでリラックスできましたが、浪人すると周囲が知らない人ばかりなので、環境が違ったことで少し動揺もしました。

それでも足切りの最低点を1点でも超えれば二次は何とかなると思っていたので、とにかく緊張しすぎないことだけを考えていました。結果的に点数は現役の時とあまり変わっていませんでしたが、足切りのボーダーラインは越えていたので気になりませんでした。

二次試験ではセンターよりは少しリラックスできて、自分なりに1年間頑張ったと思っていたので「持っているものが出せればいいな」という気持ちで臨みました。

先ほど「合格がゴール」という言葉がありましたが、実際に東大に合格したときの心境はどのようなものでしたか?

半年間の目標にしてきたことではあったのでもちろん嬉しくはあったのですが、現役時の借りを返したなどという気持ちは無くて、割と淡々としたものでした。

また、僕は経済学部に進みたいと考えていたのですが、受験では合格点などを考えて経済学部に進学しやすい文科Ⅱ類ではなく文科Ⅲ類を受けて合格しました。なので、2年の進学振り分けで経済学部に進むために更に勉強しなければいけないと気を引き締めたのを覚えています。

合格後、友達が追い出し会を開いてくれたということですが、それはどのような経緯だったのですか?

所属していたバドミントンのサークルで追い出し会を開いてくれました。

当日まで何も知らされていなくて、仲のいい友達が「二人でご飯いこう!」と誘ってくれ、彼についていったらそこにみんながいた、という感じです。ほとんどの人には仮面浪人することは言っていませんでしたが、みんなとても喜んでくれていました。東大に入ってからも何度か節目の飲み会などに呼ばれたりして、仲良くしていますよ。

慶應に通っていた時のクラスの友達とも未だに縁があったりします。2つの大学のコミュニティに所属できるという点は仮面浪人生のメリットの一つかもしれませんね。

仮面浪人を経て、自分の中で何か変化があったと感じますか?

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ダメに思えることでも、一応自分なりに頑張ってみようという前向きな気持ちを持てるようになったと思います。

また、決断は焦ってする必要は無いということも学びました。いま僕は3年生でそろそろ就活の時期なので、周りは志望する業界を決めていたり、OB訪問を始めたりしています。でも僕は「早く選択肢を絞ってしまうのは勿体ない」と思っていて、まだ絞り込むことはしていません。決断をギリギリまで延ばしても、ゴールに間に合わせればいいという考え方は仮面浪人の経験から来ていると言えると思います。

怠けていることへの正当化とも言えるかもしれませんけどね(笑)。

最後に、仮面浪人しようか迷っている後輩に向けてメッセージをお願いします!

自分のやりたいようにやった方がいいと思います。

仮面浪人は本当に人それぞれだと思うので、無理に自分の意見を押し付けたりは出来ませんし、参考にならない人もいると思います。そのなかで、もしも僕の経験からなにかを感じてくれる人がいれば嬉しいですね。

仮面浪人は誰もが選ぶべき道ではないと思いますが、仮面浪人という選択肢があるということはもう少し知られるべきだと思います。もちろん人にはそれぞれ向き不向きがあるので、全員に薦められるものでもないと思いますが。あくまで選択肢の一つとして仮面浪人がある、ということは覚えておいて、納得いくまで考えて欲しいですね。

【インタビュー日時:2014年12月26日】

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